waifu2x-caffe (for Windows)
制作者 : lltcggie
本ソフトは、画像変換ソフトウェア「waifu2x」の変換機能のみを、
Caffeを用いて書き直し、Windows向けにビルドしたソフトです。
CPUで変換することも出来ますが、CUDA(あるいはcuDNN)を使うとCPUより高速に変換することが出来ます。
GitHubリポジトリはこちらになります。
更新履歴
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ver 1.0.7
- モデルをwaifu2x v0.11のものへ更新
- TTA(Test-Time Augmentation)モードの実装
- input_extention_listで大文字小文字関係なくファイルの拡張子を比較するようにした
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ver 1.0.6.1
- input_extention_listにtgaを追加
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ver 1.0.6
- tga形式を読み書き出来るようにした
- アルファチャンネル付きの画像を変換するとアンチエイリアスにジャギーが出てしまうのを修正
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ver 1.0.5
- RGB版モデル、写真用モデル追加
- CUDA Toolkitを7.0.28に更新(同梱しているdllも更新)
- 分割サイズをいくつに指定しても結果が同じになるようにした
- 初期化を高速化
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ver 1.0.4
- Caffeを更新(Compute Capability 5.2向けの設定を追加)
- CUDAドライバーのバージョンチェックをするようにした
- GUIでデフォルトの分割サイズがすごく大きい値になってしまうことがあるバグを修正
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ver 1.0.3
- Caffeを更新
- CUDA Toolkitを6.5.19に更新(同梱しているdllも更新)
- GPUからCPUへのメモリ転送を少し高速化
- crop_size(分割サイズ)、batch_size(CUI版のみ)を指定出来るようにした
- v2より前のcuDNNは動かさないようにした(バグが多いため)
- GUIのcuDNNチェックで失敗したときは理由を表示するようにした
- README.txtのwaifu2x-caffe-cui.exeの実行例に存在しない「-j」オプションがついていたのを修正
- README.txtを色々追記
- 誤解を招くのでGPUという表現の一部をCUDAに変更
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ver 1.0.2
- アルファチャンネル付き画像を変換するとおかしな出力になるバグを修正
- GUIでノイズ除去レベルを変えても出力のファイル名が変わらないバグを修正
- 変換プロセッサーにgpuを指定した場合、cuDNNが使えていなかったバグを修正
- GUIの自動設定出力名のフォーマットがCUIと違うのを修正
- GUIで処理時間と使用したプロセッサーを表示するようにしてみた
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ver 1.0.1
- CUIが動かなかったバグを修正
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ver 1.0.0
- 公開
要求環境
このソフトを動作させるには最低でも以下の環境が必要です。
- OS : Windows Vista以降 64bit (32bit用exeはありません)
- メモリ : 空きメモリ1GB以上 (ただし、変換する画像サイズによる)
- GPU : CUDAが動くNVIDIA製GPU(CPUで変換する場合は不要)
- Visual C++ 2013 再頒布可能パッケージがインストールされていること(必須)
- 上記パッケージはこちら
ダウンロード
ボタンを押した後、vcredist_x64.exe
を選択し、ダウンロード・インストールを行って下さい。- 見つからない場合は、「Visual C++ 2013 再頒布可能パッケージ」で検索してみて下さい。
cuDNNで変換する場合はさらに
- GPU : Compute Capability 3.0 以上のNVIDIA製GPU
自分のGPUのCompute Capabilityが知りたい場合はこちらのページで調べて下さい。
cuDNNについて
cuDNNはNVIDIA製GPUでのみつかえる高速な機械学習向けのライブラリです。
cuDNNを使わなくてもCUDAで変換出来ますが、cuDNNを使うと以下のような利点があります。
- GPUと分割サイズの設定によっては大きな画像を少し高速に変換することが出来る(GPUによっては(最新に近いGPUほど?)CUDAと全く差が無い)
- VRAMの使用量を減らすことが出来る(CUDAのおよそ9分の1)
このような利点があるcuDNNですが、ライセンスの関係上動作に必要なファイルを配布することが出来ません。
なので、cuDNNを使いたい人はこちらのページでWindows向けバイナリ(v2以降)をダウンロードし、
「cudnn64_65.dll」をwaifu2x-caffeのフォルダに入れて下さい。
(cuDNNをダウンロードするにはNVIDIA Developerへの登録とCUDA Registered Developersへの登録が必要です。
CUDA Registered Developersはおそらく(簡単な)審査があるっぽいので登録してもすぐにcuDNNをダウンロード出来るわけではありません。)
作者の環境での処理速度、VRAM使用量の計測結果は以下の通りです。
(処理時間は1回しか計っていないのでおまけです。VRAM使用量の方にご注目下さい)
GPU : GTX 660
VRAM : 2GB
処理内容 : 600*600の画像でノイズ除去と拡大、JPEGノイズ除去レベル1、拡大率2.00
CUDA
分割サイズ | 処理時間 | VRAM使用量(MB) |
---|---|---|
100 | 00:00:02.590 | 373 |
120 | 00:00:02.500 | 529 |
150 | 00:00:02.733 | 816 |
200 | 00:00:05.110 | 1229 |
cuDNN
分割サイズ | 処理時間 | VRAM使用量(MB) |
---|---|---|
100 | 00:00:02.532 | 42 |
120 | 00:00:02.423 | 58 |
150 | 00:00:02.343 | 87 |
200 | 00:00:02.331 | 149 |
使い方(GUI版)
「waifu2x-caffe.exe」はGUIソフトです。ダブルクリックで起動します。
「入力パス」欄に画像かフォルダをドラッグ&ドロップで放り込むと「出力パス」欄が自動で設定されます。
出力先を変えたい場合は「出力パス」欄を変更して下さい。
好みに合わせて変換設定を変更することが出来ます。
###「変換モード」
変換モードを指定します。
* ノイズ除去 : ノイズ除去を行います
* 拡大 : 拡大を行います
* ノイズ除去と拡大 : ノイズ除去と拡大を行います
* ノイズ除去(自動判別)と拡大 : 拡大を行います。入力がJPEG画像の場合のみノイズ除去も行います
###「JPEGノイズ除去レベル」
ノイズ除去レベルを指定します。
###「拡大率」
拡大率を指定します。
###「出力拡張子」
出力拡張子を指定します。
###「プロセッサー」
変換を行うプロセッサーを指定します。
* CPU : CPUのみを使って変換を行います
* CUDA(使えたらcuDNN) : CUDA(GPU)を使って変換を行います(cuDNNが使えるならcuDNNが使われます)
###「モデル」
使用するモデルを指定します。
* RGB : RGBすべてを変換する2次元画像用モデル
* Y(輝度のみ) : 輝度のみを変換する2次元画像用モデル
* 写真 : 写真用モデル(拡大するモデルのみ付属しています。ノイズ除去は出来ません)
###「分割サイズ」
内部で分割して処理を行う際の幅(ピクセル単位)を指定します。
最適な(処理が最速で終わる)数値の決め方は「分割サイズ」の項で説明します。
「-------」で区切られている上の方は入力された画像の縦横サイズの約数、
下の方は「crop_size_list.txt」から読み出した汎用的な分割サイズです。
同じ画像サイズの画像をフォルダ指定で大量に変換するときは、最適な分割サイズを調べてから変換することをおすすめします。
###「TTAモードを使う」
TTA(Test-Time Augmentation)モードを使うかどうかを指定します。
TTAモードを使うと変換が8倍遅くなる代わりに、PSNR(画像の評価指数の一つ)が0.15くらい上がるそうです。
「cuDNNチェック」ボタンを押すとcuDNNが使えるか調べることが出来ます。
cuDNNが使えない場合は理由が表示されます。
「実行」ボタンを押すと変換が始まります。
途中でキャンセルしたい場合は「キャンセル」ボタンを押します。
ただし、実際に停止するまでタイムラグがあります。
使い方(CUI版)
「waifu2x-caffe-cui.exe」はコマンドラインツールです。
コマンドプロンプト
を立ち上げ、次のようにコマンドを打ち込み、使用して下さい。
以下のコマンドは、使い方を画面に出力します。
waifu2x-caffe-cui.exe --help
以下のコマンドは、画像変換を実行するコマンドの例です。
waifu2x-caffe-cui.exe -i mywaifu.png -m noise_scale --scale_ratio 1.6 --noise_level 2
以上を実行すると、mywaifu(noise_scale)(Level2)(x1.600000).png
に変換結果が保存されます。
本ソフトでは、以下のオプションを指定することが出来ます。
###-i <文字列>, --input_file <文字列>
(必須) 変換する画像へのパス
フォルダを指定した場合、そのフォルダ以下の画像ファイルを全て変換してoutput_fileで指定したフォルダへ出力します。
###-o , --output_file
変換された画像を保存するファイルへのパス
(input_fileがフォルダの場合)変換された画像を保存するフォルダへのパス
(input_fileが画像ファイルの場合)拡張子(最後の.pngなど)は必ず入力するようにして下さい。
指定しなかった場合は自動でファイル名を決定し、そのファイルに保存します。
ファイル名の決定ルールは、
[元の画像ファイル名]``(モード名)``(ノイズ除去レベル(ノイズ除去モードの場合))``(拡大率(拡大モードの場合))``.出力拡張子
のようになっています。
保存される場所は、基本的には入力画像と同じディレクトリになります。
###-l <文字列>, --input_extention_list <文字列>
input_fileがフォルダの場合の、フォルダ内の変換する画像の拡張子を指定します。
デフォルト値はpng:jpg:jpeg:tif:tiff:bmp:tga
です。
また、区切り文字は:
です。
例. png:jpg:jpeg:tif:tiff:bmp:tga
###-e <文字列>, --output_extention <文字列>
input_fileがフォルダの場合の、出力画像の拡張子を指定します。
デフォルト値はpng
です。
###-m <noise|scale|noise_scale>, --mode <noise|scale|noise_scale>
変換モードを指定します。指定しなかった場合はnoise_scale
が選択されます。
* noise : ノイズ除去を行います (正確には、ノイズ除去用のモデルを用いて画像変換を行います)
* scale : 拡大を行います (正確には、既存アルゴリズムで拡大した後に、拡大画像補完用のモデルを用いて画像変換を行います)
* noise_scale : ノイズ除去と拡大を行います (ノイズ除去を行った後に、引き続き拡大処理を行います)
* auto_scale : 拡大を行います。入力がJPEG画像の場合のみノイズ除去も行います
###-s <小数点付き数値>, --scale_ratio <小数点付き数値>
何倍に拡大するかを指定します。デフォルト値は2.0
ですが、2.0倍以外も指定できます。
2.0以外の数値を指定すると、次のような処理を行います。
* まず、指定された倍率を必要十分にカバーするように、2倍拡大を繰り返し行います。
* 2の累乗以外の数値がしてされている場合は、指定倍率になるように拡大した画像を線形フィルタで縮小します。
###-n <1|2>, --noise_level <1|2>
ノイズ除去レベルを指定します。ノイズ除去用のモデルはレベル1とレベル2のみ用意されているので、
1 もしくは 2 を指定して下さい。
デフォルト値は1
です。
###--model_dir <文字列>
モデルが格納されているディレクトリへのパスを指定します。デフォルト値はmodels/anime_style_art_rgb
です。
標準では以下のモデルが付属しています。
* models/anime_style_art_rgb
: RGBすべてを変換する2次元画像用モデル
* models/anime_style_art
: 輝度のみを変換する2次元画像用モデル
* models/ukbench
: 写真用モデル(拡大するモデルのみ付属しています。ノイズ除去は出来ません)
基本的には指定しなくても大丈夫です。デフォルト以外のモデルや自作のモデルを使用する時などに指定して下さい。
###-p <cpu|gpu|cudnn>, --process <cpu|gpu|cudnn>
処理に使うプロセッサーを指定します。デフォルト値はgpu
です。
* cpu : CPUを使って変換を行います。
* gpu : CUDA(GPU)を使って変換を行います。Windows版でのみ、cuDNNが使えるならcuDNNを使います。
* cudnn : cuDNNを使って変換を行います。
###-c <整数>, --crop_size <整数>
分割サイズを指定します。デフォルト値は128
です。
###-b <整数>, --batch_size <整数>
mini-batchサイズを指定します。デフォルト値は1
です。
mini-batchサイズは画像を「分割サイズ」で分割したブロックを同時に処理する数のことです。例えば2
を指定した場合、2ブロックずつ変換していきます。
mini-batchサイズを大きくすると分割サイズを大きくするとの同様にGPUの使用率が高くなりますが、計測した感じだと分割サイズを大きくした方が効果が高いです。
(例えば分割サイズを64
、mini-batchサイズを4
にするより、分割サイズを128
、mini-batchサイズを1
にした方が処理が速く終わる)
###-t <0|1>, --tta <0|1>
1
を指定するとTTAモードを使用します。デフォルト値は0
です。
###--, --ignore_rest
このオプションが指定された後の全てのオプションを無視します。
スクリプト・バッチファイル用です。
###--version
バージョン情報を出力し、終了します。
###-h, --help
使い方を表示し、終了します。
手軽に使い方を確認したい時などにどうぞ。
分割サイズ
waifu2x-caffe(waifu2xもですが)は画像を変換する時、
画像を一定のサイズ毎に分割して一つずつ変換を行い、最後に結合して一枚の画像に戻す、という処理をしています。
分割サイズ(crop_size)とは、この画像を分割する際の幅(ピクセル単位)の事です。
CUDAで変換中でもGPUを使い切れていない(GPUの使用率が100%近くまでいっていない)場合、
この数値を大きくすることで(GPUを使い切ることが出来る様になるため)処理が早く終わる可能性があります。
GPU-ZなどでGPU Load(GPU使用率)とMemory Used(VRAM使用率)を見ながら調節してみて下さい。
また、以下の様な特性があるので参考にして下さい。
- 数値が大きければ大きいほど速くなるわけでは無い
- 分割サイズが画像の縦横サイズの約数(あるいは割ったときに余りが少ない数)だと、無駄に演算する量が減って速くなる。 (この条件にあまり当てはまらない数値が最速になるケースもあるらしい?)
- 数値を2倍にした場合、使用するメモリ量は4倍になる(実際は3~4倍といったところ)のでソフトが落ちないように注意。特にCUDAはcuDNNに比べてメモリの消費量がとても多いので気をつけること
おことわり
本ソフトは無保証です。
利用者の判断の下に使用して下さい。
制作者はいかなる義務も負わないものとします。
謝辞
オリジナルのwaifu2x、及びモデルの制作を行い、MITライセンスの下で公開して下さった ultraistさん、
オリジナルのwaifu2xを元にwaifu2x-converterを作成して下さった アミーゴさん(READMEやLICENSE.txtの書き方、OpenCVの使い方等かなり参考にさせていただきました)
に、感謝します。